「肩」寺山修二



肩は男の丘である
その彼方には過去の異郷がある

肩は男の防波堤である
いくたびも人生に船を見送った

肩は男の翼である
ひろげてももう飛ぶことはできない

肩は男の詩である
さびしいときにも定型を保っている

肩は男の酒場である
いつも誰かの手が憩う

肩は男の水平線である
だが もう鳥などは発たすな!

さらば 友よ