水になにを書きのこすことが
できるだろうか
たぶんなにを書いても
すぐに消えてしまうことだろう
だが
私は水に書く詩人である
私は水に愛を書く
たとえ
水に書いた詩が消えてしまっても
海に来るたびに
愛を思い出せるように
この世で一番みじかい愛の詩は
「愛」
と一字書くだけです
この世で一番ながい愛の詩は
同じ字を百万回書くことです
書き終らないうちに年老いてしまったとしても
それは詩のせいじゃありません
人生はいつでも
詩より少しみじかいのですから
肩は男の丘である
その彼方には過去の異郷がある
肩は男の防波堤である
いくたびも人生に船を見送った
肩は男の翼である
ひろげてももう飛ぶことはできない
肩は男の詩である
さびしいときにも定型を保っている
肩は男の酒場である
いつも誰かの手が憩う
肩は男の水平線である
だが もう鳥などは発たすな!
さらば 友よ