「家族の唄」ジャック・プレヴェール(Jacques Prévert)



おふくろが編物をする

息子が戦争をする

これは当然のこと とおふくろは思う

それならおやじ おやじは何をする

おやじは事業をする

家内は編物

息子は戦争

わしは事業

これは当然のこと とおやじは思う

それなら息子 それなら息子は

どう思う 息子は

息子はなんとも思わない 何とも

おふくろは編物 親父は事業 ぼくは戦争

戦争が終ったら

おやじと二人で事業をするだろう

戦争がつづく おふくろがつづく 編物をする

おやじがつづく 事業をする

息子が戦死する 息子はつづかない

おやじとおふくろが墓参りをする

これは当然のこと とおやじとおふくろは思う

生活がつづく 編物と戦争と事業の生活

事業と事業と事業の生活

生活とお墓が。