「海が好きだったら」 寺山修司

水になにを書きのこすことが
できるだろうか
たぶんなにを書いても
すぐに消えてしまうことだろう

だが
私は水に書く詩人である
私は水に愛を書く

たとえ
水に書いた詩が消えてしまっても
海に来るたびに
愛を思い出せるように





「私と小鳥と鈴と」金子みすゞ

わたしと小鳥と鈴と
わたしが両手を広げても
お空はちっとも飛べないが

飛べる小鳥はわたしのように
地べたを早くは走れない

わたしが体をゆすっても
きれいな音は出ないけれど

あの鳴る鈴はわたしのように
たくさんな歌は知らないよ

鈴と小鳥と それからわたし
みんな違って みんないい