「詩の好きな人もいる」ヴィスワヴァ・シンボルスカ(Wisława Szymborska)


何人かの人々が――
つまりすべてではない
大多数ではなく少数の人々
詩を必須科目の一つとして学ばなくてはならない学生時代は別として
詩人もまた数には入れられないのだが
詩を好きだというのは 多分千人に二人位のもの

詩を好きな人々――
しかしマカロニ入りの鶏がらスープだって好きだろうし
お世辞をいったりいわれたり ありふれたブルーの色も好き
使いふるしたマフラーも
自己主張が強かったり
犬を撫でるのなんかも好きだ

詩とは――
ただ詩とは何なのか
この問いに対し
すでに多くの納得のいかない答がなされてきた
だが、私は依然として解答を出すことができず
それが救いの手すりででもあるかのように
ずっと握りしめている





「夜のミッキーマウス」谷川俊太郎



夜のミッキー・マウスは

昼間より難解だ

むしろおずおずとトーストをかじり

地下の水路を散策する


けれどいつの日か

彼もこの世の見せる

陽気なほほえみから逃れて

真実の鼠に戻るだろう


それが苦しいことか

喜ばしいことか

知るすべはない

彼はしぶしぶ出発する


理想のエダムチーズの幻影に惑わされ

四丁目から南大通りへ

やがてはホーチーミン市の路地へと

子孫をふりまきながら歩いて行き


ついには不死のイメージを獲得する

その原型はすでに

古今東西の猫の網膜に

3Dで圧縮記録されていたのだが