1メートルは無色透明
1グラムだって清らかな白
でも1エンとなるとそうはいかない
数字が色めき色気付き
世界中を飛び回る
軽い小さい丸いアルミは何の種?
集まって
貪欲の根無し草をはびこらせる
だが貨幣はもはや
財布の中に住んではいない
見えない電子の網と化して
地球をまるごと捕まえる
ことお金に関してだけは
人類は皆兄弟
麻薬の売り買い武器の売り買い
賭博に贈賄収賄と
ユーロもドルも元もウォンも
喧嘩しながら仲良しだ
点滅する数字信じて
膨らみ続ける欲望信じて
千円札の定価は千円
だが原価はもちろんはるかに安い
千円札も万札も
ときには偉い人の顔に泥を塗るが
ときにはタダで手放して
お金を気持ちに変えたりもする
良かれ悪しかれお金は自分
お金はまるで人間そのもの
貯金はたいて買ったシャガールのリトの横に
道で拾ったクヌギの葉を並べてみた
値段があるものと
値段をつけられぬもの
ヒトの心と手が生み出したものと
自然が生み出したもの
シャガールは美しい
クヌギの葉も美しい
立ち上がり紅茶をいれる
テーブルに落ちるやわらかな午後の日差し
シャガールを見つめていると
あのひととの日々がよみがえる
クヌギの葉を見つめると
この繊細さを創ったものを思う
一枚の本の葉とシャガール
どちらもかけがえのない大切なもの
流れていたラヴェルのピアノの音がたかまる
今日が永遠とひとつになる
窓のむこうの青空にこころとからだが溶けていく
……この涙はどこからきたのだろう