ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
あたまは「いやだ」と横にふり
心のなかで「いいよ」という
愛するものに「いいよ」といい
教授先生には「いやだ」という
起立して
質問されて
問題がすっかり出そろうと
いきなりげらげら笑いだし
何もかも消す 何もかも
数字も ことばも
年月日も 名前も
文章も 罠も
先生はとびきり渋い顔
優等生は囃(はや)したてるけれど
いろんな色のチョークをとって
ふしあわせの黒板に
しあわせの貌(かたち)をえがく。