「空はいま、屋根の上に」ポール・ヴェルレーヌ


空はいま、屋根の上に、あんなに青く、あんなに静か!

一本の樹が、屋根の上で枝葉をゆすっている。

鐘の音が あそこに見える空の中で やすらかに鳴りわたる。

あそこに見える樹の上で 一羽の鳥が嘆きの歌をうたっている。

ああ 神さま、神さま、人生はあそこに 素朴に 物静かに。

あの和やかなざわめきは街のほうからやってくる。

どうしてしまったのか、そこにそうして きりもなく泣いているお前は、

ねえ、どうしてしまった、いったいお前は

おまえの若い日を。